小澤明子

小澤さんと初めてお会いしたのは、数年前の夏。ご縁あって知り合った方に、小澤さんが住んでいた静岡県沼津市のご自宅兼アトリエを訪問を誘われて伺ったことがきっかけでした。
「紹介したい方がいる。気が合うかもしれない。」とお声かけいただき、面識もない方のお宅にいきなり伺って大丈夫なのか、会話が弾むだろうかなどといった不安が膨らむよりも早く「お会いしたいです」と答え、あとは勢いと流れに身を任せました。
あのとき、自分の殻に閉じこもらずにいられて、本当に良かったと思います。小澤さんとは、初めて会ったとは思えない心の近さでお話しができて、以来無二の友人となりました。
小澤さんが沼津から愛知県新城市へ越したのは、2025年の冬。ちょうど私の伊豆移住よりも数ヶ月早いときでした。自然豊かな土地にあるこのアトリエで、小澤さんは籐と対話を繰り返しながら制作されています。






二階建てのご自宅で、主に制作をするのは一階。二階は小澤さんや、特に親交の深かった作品を実際に見ることのできるギャラリーです。


素材となる籐は、そのままでは硬くて編み込めないので、水やぬるま湯に浸してやわらかくします。

基本的に制作場所は一階。朝〜夕方にかけて光の入る角度が異なるので、窓辺から窓辺へ渡り歩いて制作をされているそう。

お家のあちこちに、小澤さんの作品が溶け込んでいます。なかでも、こちらの作品は佇まいが美しく、見つけると胸がすっきりとするような気持ちよさを抱きます。

籐は自然素材なので、同じように見えてもひとつずつが柔らかかったり、硬かったりと癖があります。
水に浸した籐を触れながら、どれを使うか判断しつつ、一本ずつを似たような質感を選びながら編みます。これによって作品の仕上がりがかなり変わります。

編み込むときは強すぎても弱すぎてもだめ。力を入れるべきところは入れて、そうでないところはやわらかに。どこに籐を通すか考えながら、しかし考えすぎずに、驚くほどの速さで手を動かして編んでいきます。

乱れ編みは、特に形を生み出す難しさがあります。
編みを続けるほどに、流動的に形が変わる。こっちを編むとこっちが変わり、こっちが変わればこちらも変わる。編みが規則正しくないことで、どうやって進めたらいいかわからず、まじめに考えすぎるとますます進まなくなってしまう。気を付けるべきところは気をつけて、どこにゆとりをもたせて、どこで締めるか、、、。
素材を、籐をいじめずに、進みたい方向を感じ取りながらかごを編んでいます。
籐を染めないのも、籐自体がもつ色と素材感を大切にしたいから。

遊ぶように、籐と対話を重ねながら手を動かし続ける小澤さん。納得のいく作品が出来上がると、瞳を輝かせて、うれしそうに話します。そのときに、作品はもちろんのこと、この人のことが好きだなと私自身も嬉しくなります。

小澤さんと同居している猫のキキちゃん。小澤さんにとっても、大切な人生の友のようです。



